放射線は少しでも怖いとする説が生まれた理由
放射線の影響を調べる初期の実験では、ショウジョウバエの細胞が検体として使用されました。
検体に放射線を当てると、放射線量に比例して染色体異常が認められたため、「放射線は少しでも危険である」とする説が定説となり、約70年前、マラーの法則としてノーベル賞が与えられました。
ところが、この実験に使用されたのはオスのショウジョウバエの精子の細胞で、生命の中で唯一、DNA修復が行われない特殊な細胞だったのです。
近年の研究では、DNAは損傷を受けても自らの修復機能を働かせることが認められるようになってきました。「DNAは1日に100万件の活性酸素による損傷を受け、それを修復しながら生きている。それが、生命活動である」と結論づけた論文も発表されています。
このような流れから、放射線は低線量であれば、刺激効果となりDNAの修復を促すとして低線量放射線の医療への応用が試みられるようになりました。
しきい値(有益なものから有害なものへと変る境目の値)を超えると、放射線はガンの発症と密接な関係が出てくることは従来言われてきた通りです。
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